伊助のよもやま話
最後は神だのみ 人生色々あるが、今回ばかりは神にたのみたい気持ち一心だった。 家内が、ある病気で手術をすることになった。当日の予定は、9時に手術室に入り、10時から手術、12時までには終わると聞いている。私と娘は9時前から控え室で待機していた。 控え室には、私たち以外に三家族の方達が待っていた。皆、同じ気持ちなんだろう。談話はほそぼそとしていて、たまには笑いも入るが、10時頃になると無言が続いた。 そして沈黙の中、みんながある一点を見つめては目をつむっているように見えた。その一点は、手術室の方のドアである。10時半頃に、一家族が呼ばれる。時間が長く感じる。11時前に一家族が呼ばれる。「はい」と返事をしながら、そわそわと部屋を出て行く。待つ時間は長く、いらいらする。また戸が開き、三家族目の方が出て行った。 残るは娘と二人。話す事なく二人とも黙って待ち、11時半が過ぎた。思わず手を合わせ、心で手術の無事を神に頼んだ……すると戸が開いて、白衣の先生が入って来た。 一瞬「ハッ」としたが、「無事に手術は予定通り終わりました。」と告げられ、先生が神のように見えた。有難う御座いましたと先生に感謝し、手を合わせ拝んだ。 大なり小なり、皆いつか、このような気持ちを持つ事があるだろう。又、私自身も手術をお願いする身になることもあるだろう。病院から帰るとき、出入り口の所に次のような言葉が書いてあるのに気づいた。 「来る人にはほほ笑みとうれいを 去る人に遠水に幸あれと祈る」 誰にでもどこの家族にも使える言葉だと思った。 皆さんに、この言葉を捧げたいです……。 |