伊助のよもやま話


会長

ゴマ竹

「師走  捨てる腎臓よろしく」
──11月8日の京都新聞朝刊の一面記事の見出しに記載されていた。昔から五臓六腑は体の大事なところばかりで、この一部が取り替え、外す、交換、捨てる、と聞きなれない言葉ばっかりで、驚くばかりです。
私たちが竹を扱っていて、竹にも似たような話があります。京都では「ゴマ竹」と言っています。地方では「錆竹(さびたけ)」とも言っていますが、「枯竹(かれたけ)」と言うほうがわかりやすいです。
竹は賢くて、5〜6年たつと後継竹のために自ら枯れていく習性があります。この枯れた竹を採集して、筧によいものを選り出して、竹を生かすように加工するのです。この数量は大量にありますが、間に合うものは10%ぐらいです。手間がたいへんかかります。そうして熟練した技術でそれを再生して素晴らしいものに仕上げます。数奇屋建築にはなくてはならない貴重な竹です。
なぜそんなに大事がられるかと申し上げると、枯れた竹は竹の成分も養分もなくなっているので、虫がつかないのです。私たちが本当に虫がつかないと言って安心して売れる竹は、この「ゴマ竹」だけと言っても過言ではありません。
昔々、先人たちは自然にそれを会得したのでしょう。その伝統を私たちに伝えてきたことに頭が下がり、今も見習って利用させてもらっています。先人に感謝申し上げます。
「捨てるときはもう一度見直しをして、何にかに使えると考えて考えてから捨てるようにしよう。元気、頑張れ」
この間、よい言葉を聞いたので紹介しよう。
「伝統と遺跡とは違う。生きたものでないと産業とは言えない。しきたりを守りながら革新あるべし」


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