伊助のよもやま話

数寄屋建築 数寄屋(すきや)建築とは何か、間違っているかもしれないが、私が長年見て、先輩方から聞いた事を思い出しながら記してみたい。 「数寄」という字の如く、色々な材料を数(かず)寄せて建てる、それも加工された物ではなく、自然の材料を集めて建てる建築のことです。 もともとの語源「数奇」は物好きの意味があり、「数寄屋」は好みに任せて作った家といった意味を持ちます。それが茶室なのです。 茶室は、数多くの条件を好き勝手に言って、材料を組み合わせ、建てます。 特に目立ってうるさいのが、床柱。立派なものより自然に転がしてある丸太を利用するというような事で、意味が分かったような分からんような事です。 数寄屋造りの代表とされる桂離宮の茶室を見ましたが、本当にどこにでも転がっている、節がものすごく沢山あるような丸太が床柱に使われていました。このように、自然をとても大切にするのが風流なことなのです。 しかし、自然の材料を大切にするといっても難しい条件もあります。桜や梅は皆に好まれる材料なのに使われていない。というのは、花が咲いて散るということを嫌い、年中青々としている松や竹が大事に使われます。 茶室では、床柱のほかに、落し掛けや袖柱が目立ちます。袖床にはよく曲がった材料が使われていますが、自然の様に曲がっている物はなかなかありません。床柱はもちろん、それぞれ造る親方のやり方によって同じ物はなく、図を描くように作り手によって違うのです。 因って数寄屋建築のお茶室は様々で、それが面白いところでいくら見ても飽きる事がなく、あちこちと見たい気持ちになります。 大工さんもやりがいがあるでしょう。ただ、お茶室には何の材料を使っても構わないが、お茶の流儀による決まり事があります。 お茶ができるように築く。それに勝る条件はありません。 出来るだけ竹を利用して下さるよう、私たちは望んでいます。 |